東京とんかつ会議 230回 渋谷「とんかつ梛」「上ロースかつ
上ヒレカツ盛り合わせ定食」3500円
【肉3油2衣3キャベツ3ソース2ご飯3味噌汁2お新香2特記なし上合計20点】
二つの鍋銅で揚げている。だが他の店であるように、低温の鍋で揚げてから高温の油で仕上げるのではない。ロースとヒレを温度違いで揚げている。どうやらロースの方は温度が低い様子だった。
メニューを見ると、ロースカツだけの定食はない。今回食べたロースとヒレの盛り合わせか、ヒレカツしかない。つまりヒレカツがウリのようである。
ヒレからいただいた。ヒレカツにありがちな酸化臭は微塵もなく、香りが澄んでいる。噛めばきめ細かく、赤身肉のうまみがこぼれる。
一方のロースもいい。比較的おとなしい旨みの豚肉だが、しっかりと過熱されているので、滋味を感じ、脂のキレと香りもいい。
調味料は、青唐辛子味噌と辛子、小皿に入れたウースターと塩が用意される。ヒレは塩がよく、カツは塩かウースターが合う。
衣は中粗、軽やかに揚げられているが、カツの下面が湿っているのが惜しい。
揚油はコーン油で、ラードにはかなわぬものの、ほのかに甘い香りが漂う。
キャベツは極細で、羽釜で炊かれるご飯となめこの赤だし汁も上出来、お新香は、茄子ともやしの和物で、とんかつの味を切るには物足りない。
5月にできた新しい店なのに、店主の動きに無駄がない。聞けば、渋谷の「かつ吉」で16年やられ、店長も務められてという。
極細のキャベツはその伝だろう。だがロースの脂身を細くしていることや揚げ方は、異なっている。「かつ吉」と言えば、金町「喝」、人形町「かつ好」、秋葉原「丸五」、下北沢「かつ良」といったとんかつの名店が揃う。「とんかつ梛」も、東京のとんかつシーンを活性させてくれるだろう。
